公認会計士 青木 寿幸

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投資事業有限責任組合(LPS)を、適格機関投資家に選択する場合には、かなり慎重に選びましょう。

最近、適格機関投資家等特例業務の事業者に、金融庁の検査が入り、処分されている事例が増えています。
特に、適格機関投資家として、投資事業有限責任組合が投資している場合には、かなりの確率で処分されています。

投資事業有限責任組合は、財産金額がいくらであっても、それだけで、適格機関投資家となることができ、省略して、LPSとも呼ばれます。
LPSは、投資対象が規制されています。
1つ目が、海外への投資が、総額の50%未満にしなければいけません。
2つ目が、国内、及び海外への不動産(建物や土地のこと)への投資はできません。
ということで、匿名組合や任意組合、株式などに投資することは、自由にできます。

そして、1人の無限責任の投資家がいて、そこに有限責任の複数の投資家が投資して、任意組合を締結することで、登記を行います。
通常、任意組合は、投資家全員が無限責任なのですが、LPSの場合には、登記することを前提に、有限責任になっているのです。
このとき、無限責任の投資家を、合同会社や株式会社にすることで、実質的には、全員を有限責任します。

法務局から、登記簿謄本も発行できるため、LPSの名前で通帳の口座を開けることもできます。
それでも、最近は、金融庁にLPSが処分されることが多くなっていることから、銀行が開設を拒否をすることも増えてきています。

このLPSを作るときには、下記の5つのことに注意する必要があります。

① LPSも任意組合
経済通産省が、中小企業に投資するファンドを民間でも作って欲しいということで、「投資事業有限責任組合法」を作りました。
としても、その法律上で作られるLPSも、金融商品取引法の網がかかります。
そのため、LPSを作るときには、投資運用業者に依頼して、投資家を集めてもらうか、適格機関投資家等特例業務を申請するしかないのです。

このとき、金融商品取引法を違反していても、LPSの登記は、できてしまいますので、注意が必要です。
違法なLPSだと知っていて、適格機関投資家になってもらえば、金融庁の検査のときに、指摘されるはずです。
そもそも、LPSに投資してもらう前に、そこが、金融庁に適格機関投資家等特例業務の申請を出していることを確認すべきです。

ただ、ここで、混乱するのが、金融商品取引法が施行された、平成19年9月30日より前に設立されたLPSについては、上記の申請が必要なく、適格機関投資家になることができるのです。
このLPSを、特例投資運用業者と呼んでいます。
それでも、登記簿謄本を取得すれば、設立された日付はすぐに分かるので、違法なLPSとは知らなかったという言い訳は通用しないでしょう。

② 投資家の人数
適格機関投資家等特例業務は、最低1人の適格機関投資家と、最大49名の一般投資家のファンドを作ってもよいという制度です。
このとき、適格機関投資家として、LPSを選択すると、そのLPSに投資している一般投資家も含めて、カウントしなければいけません。
自分が集めた一般投資家と合わせて、49名を超えていれば、金融商品取引法違反となります。

ただ、投資家の人数に関しては、LPSからウソの情報を流されていると、こちらは調査はできません。
投資家の名前や住所、投資金額は個人情報に当たるため、その資料を見せてもらうことはできないでしょう。
それでも、人数だけは、必ず、LPSの営業者に確認した履歴(メール、録音など)を残しておく必要があります。

③ LPSは監査が必要
LPSは、法律で、最低でも1年に1回は、公認会計士の監査が義務付けられています。
そのため、公認会計士は、法定監査として、毎年、財務諸表について監査を行い、監査証明を提出し、公認会計士協会にも、その内容を報告する義務があります。
間違ってはいけないのは、任意ではなく、義務だということです。

必ず、やっているはずなので、監査証明も見せてもらうべきです。
もし適格機関投資家の財務状況が悪化して、倒産すれば、急いで次の適格機関投資家を探さなくてはいけなくなるのです。
また、公認会計士の監査は、財務諸表だけではなく、金融商品取引法の法令違反をしていないことを前提に行われます。

④ LPSへの報酬
金融庁は、LPSへの報酬が高すぎることを、適格機関投資家等特例業務の業者を処分する要因の1つに挙げています。
例えば、LPSが100万円を投資しているところ、コンサルティング料として、1年間でLPSに対して、100万円を支払っているケースなどです。
LPSは投資家であり、投資のリスクを負うべきところ、報酬がもらえるから適格機関投資家を承諾していると見えてしまいます。

また、一般投資家が、最低でも100万円、500万円などの単位で投資しているにも関わらず、LPSが10万円しか投資していなければ、おかしな話です。
そのため、LPSが投資家というのであれば、他の投資家の平均程度の投資を行い、かつリスクを負っていなければいけません

⑤ 登記を行う士業
LPSを登記する司法書士や書類を作成する行政書士が、自分たちのグループにLPSを作り、そこが専属で、適格機関投資家になっている場合があります。
同じグループで、いくつもの適格機関投資家等特例業務の営業者を運営し、それに投資してるLPSが全部、同じであれば、やっぱり処分されてしまうはずです。
最近、行政書士が処分されました。

登記したり、申請する報酬をもらい、かつ継続的に報酬が発生するとしたら、LPSを管理したいと考えるかもしれません。
ただ、そのような士業が、金融庁から処分されたら、それに関連したLPSはすべて調査が入ります。
痛くもない腹を探られないようにした方がよいに決まっています。

そもそも、金融庁の検査が入れば、預金の通帳も、パソコンのメールも見られてしまうのです。
どこからお金が流れて、誰とやり取りをしているのか、すぐに分かります。
それなのに、営業者とLPSで、お金をぐるぐる回していたり、LPSと報酬とバーターで、投資してもらうメールを出していれば、すぐにバレるのです。

金融庁で、検査を担当している人たちは、今まで、そのような事例をいくつも見てきたプロなのです。
1回違法なことをやったあと、そのときは、何も指摘されないので、感覚がマヒして、ドンドンLPSを活用してしまう人が多いようです。
それでも、違法なことをすれば、絶対にあとで、処分されて、大きな代償を支払うことになるのです。

適格機関投資家等特例業務で、LPSを適格機関投資家として選ぶ場合には、相手を慎重に吟味し、かつ投資のスキームも問題ないのか、事前に必ず、チェックしましょう。

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