公認会計士 青木 寿幸

適格機関投資家等特例業務

投資家が少人数ならば、金融庁には登録せずに、事前届出だけですむ方法で、ファンドを作ることをお勧めします

金融商品取引業に登録する会社の目的は、もちろん、ファンドを作って儲かることです。
つまり、ファンドのお金を募集して、運用することを本業とし、営業マン、管理者、運用者を雇い、事務所を借りるなどで、経費を使っても、それ以上に売上を上げるということです。

しかも、登録する時間をかけて、金融庁の検査に対応するための資料作成も行ないます。その経費も、売上から回収しなければいけません。

金融商品取引業者の売上とは、投資家と契約上で約束している、ファンドからの報酬です。

投資家の数を増やして、ファンドの規模を大きくして、運用を成功させることで、この報酬は比例して、大きくなるのです。

ただ、ファンドを作りたい人たちが、すべてこれに当てはまるわけではありません。

  • 今すぐに、株、FX、日経先物などの有価証券に、投資するファンドを作りたい
  • 外国ファンド、新興国の未公開株に、投資するファンドを作りたい
  • 昔からの、数人の知り合いからお金を集めて、ファンドを作りたい
  • 本業とは違うが、儲かりそうな不動産があるので、ファンドを作って投資したい
  • 初めてファンドを作るが、これを本業にするかは、やってみないと分からない
  • 投資家は、すべて大企業ばかりで、数社しかいない

もともと、証券会社などの金融機関の出身者でなければ、ファンドから報酬を本業にする人は少ないはずです。それだけで、十分な利益を稼ぐためには、多数の投資家と、積極的な運用を行わなくてはいけません。
また、投資運用業への登録には、最低の純資産が5000万円であり、相当の時間とコストがかかります。第二種金融商品取引業への登録であっても、簡単ではありません。

副業で小さくファンドを作ろうとするときに、多数の投資家から、お金を出資してもらえるとは考えていないはずです。それどころか、ファンドの総額が5000万円に達しないこともあるはずです。

これらの人たちまでも、金融庁に登録しなければ、ファンドを作れないとすれば、儲かりそうな投資先があって、知り合いの投資家もいるのに、自由な経済活動を制限してしまうことにもなります。
そこで、金融商品取引法では、一定の要件を満たすことで、登録せずに、ファンドを作ることができる特例を作りました。

法律用語で、「適格機関投資家等特例業務」と呼んでいます。

この適格機関投資家等特例業務では、投資運用業の登録をしなくても、有価証券の運用を一任で行なうこともできます。
つまり、時間とコストをすごくかけて、金融商品取引業の登録をせずに、ファンドでお金を集めて、株やFX、外国のファンドで運用することができるのです。


ただ、適格機関投資家等特例業の規制が甘ければ、誰も、投資運用業や第二種金融商品取引業に登録しないでしょう。そのため、実質的に、自由にファンドが作れない制度になっているのです。

では具体的に、適格機関投資家等特例業務とは、どのような制度なのでしょうか?

適格機関投資家等特例業務とは、下記の4つの要件を満たしているファンドのことを指します。

①ファンドを作る人が、自己募集、自己運用すること

お金を集める会社や個人が、自分で募集の広告を出して、投資家に説明を行い、自分の判断で運用していくことが、原則となります。募集して勧誘する人数は制限がありませんので、インターネット等で公表することもできます。
また、ファンドの運用は、適格機関投資家等特例業務を適用するけれど、ファンドの募集は、第二種金融商品取引業者に依頼することもできます。同時に、自分で募集することでも構いません。

それとも、ファンドの募集だけ、適格機関投資家等特例業務を適用して、運用は、投資運用業者に依頼することも問題ありません。

そこは、臨機応変に、使い分けができるということなのです。

ただ、実際には、自己募集、自己運用しているファンドが、ほとんどです。

②適格機関投資家に、最低1口は出資してもらうこと

適格機関投資家等特例業務の一番のポイントである、「適格機関投資家」が法律で定義されています。
定義されている数は相当、多いですが、現実には、下記の4つの誰かに出資してもらうことが、ほとんどでしょう。

  • 第一種金融商品取引業者(証券会社のこと)、または投資運用業者
  • 投資事業有限責任組合(LPS)
  • 有価証券の残高が10億円以上ある個人、または法人(組合を含む)で届出をした者
  • 外国の第一種金融商品取引業者、または投資運用業者で、届出をした会社

1口の最低金額は法律で決まっていませんが、適格機関投資家だけが低い金額で投資することは許されないと考えるべきです。また、ファンドが運営されている途中で、適格機関投資家が自分の持分を、一般投資家に売却してしまい、適格機関投資家がいなくなることはできません。
そのため、適格機関投資家の持分は、別の適格機関投資家にしか売却できないという制限をつけることになります。

さらに、最近では、適格機関投資家はプロであり、投資しているファンドが適正に運用されていることに、一定の責任を求める傾向にあります。

そのため、ファンドのスキームや契約書が適正で、運用もしっかり行われることが確実でなければ、適格機関投資家を見つけることはできないと考えるべきです。

③一般の投資家は、49名までとする

一般投資家とは、適格機関投資家以外の投資家のことです。
そもそも、この適格機関投資家等特例業務は、少人数からお金を集める場合のみに限定されています。そのため、人数は、49名と少人数でなければいけません。

また、ファンドが運営されている途中に、一般投資家が自分の持分を細かく分解して売却してしまうと、49名を超えてしまいます。そこで、一般投資家の持分は、一括で売却することしかできません。

なお、適格機関投資家が、投資事業有限責任組合(LPS)の場合には、その投資家が適格機関投資家でなければ、49名の人数にカウントされてしまいます。

さらに、その投資事業有限責任組合の投資家に、投資事業有限責任組合がいた場合には、その投資家が、一般投資家であっても、49名にはカウントされません。

また、「同じような、適格機関投資家等特例業務のファンドをいくつも作れば、結果的には、届出だけで、49名以上の投資家を集めることができるのでは?」という質問を受けます。
しかし、募集している人が同じで、投資先も同じであれば、それ以外の条件が違っていたとしても、実質的に同一のファンドであるとみなされます。このようなことは、脱法行為になるため、絶対に行ってはいけません。

あくまで、適格機関投資家等特例業務は、少人数でファンドを作るために作られた特例であるということを、よく覚えておく必要があります。一般に広く投資家を集めてファンドを作りたい人は、投資運用業、または第二種金融商品取引業に登録するしかありません。

④金融庁に、投資家を募集する前に届出をすること

適格機関投資家等特例業務では、金融庁への届出となるため、基本的には拒否されることは、めったにありません。
届出自体は、1日で終わります。ただし、届出は事前に行う必要があります。

また、最近では、届出を行うときに、金融庁から詳細を質問されるようにもなってきました。

そのため、適格機関投資家等特例業務によって、ファンドを作る場合でも、適格機関投資家は誰なのか、何に投資するファンドなのか、適法に行われるのか、それらを事前に準備しておく必要があります。

このことから、適格機関投資家等特例業務のファンドを組成する場合でも、ファンドのスキーム組成から、契約書の作成、適格機関投資家との協議、そして金融庁への届出まで、現実には、1ヶ月程度はかかると考えるべきでしょう。

また、1年に1度、金融庁から、モニタリングの調査が来ます。
現在のファンドの総額や投資家の属性などを、インターネット等を通じて、報告することになります。

これは、期限を守り、必ず、報告してください。

ただし、これは、現在の状況(決算を含め)を、正確に伝えることができれば、何の問題もありません。

いろいろな規制があるとしても、取引先や仲間内だけの少人数からお金を出資してもらい、コストを安くして、小さなファンドを作りたい人には、適格機関投資家等特例業務をお勧めします。

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適格機関投資家等特例業務の届出をした会社は、金融庁のホームページで公表されていて、すごい数が登録されているのが分かります。
それだけ、適格機関投資家等特例業務は、使いやすい制度だと、みんなが考えている証拠です。

いきなり、金融商品取引業の登録をするのではなく、最初は、適格機関投資家等特例業務のファンドを作って運営することで、経験を積んでからでもよいのではないでしょうか。

適格機関投資家等特例業務で作ったファンドを、あとから、普通のファンドに移行することも可能です。

これだけは知っておきたい!

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信託受益権の不動産仲介をする際、全く知識もなく困惑し、
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吉崎先生との出逢いは、FX(外国為替証拠金取引)による資産運用とコンサルティングを生業とした会社を立ち上げようとしていたときでしたね。


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